わきが治療の種類って?その特徴や治療期間とは?
汗臭さとはまったく別の、すえたような独特な臭いが発生する腋臭症(わきが)。原因はアポクリン汗腺という汗腺から出される汗であり、どれほど気にかけていても自分ではコントロールしきれないのが悩みどころです。
そのため、わきがについては医療機関で専門の治療を受けることが最も有効な対策方法です。
|わきが治療の効果はどれほど続く?
一口に「わきが治療」といっても、本格的な手術から外用薬まで、わきがの程度に合わせて様々な方法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
・外用薬、内服薬:軽度のわきが対策
気になる部分に直接塗ることで、汗を抑える制汗剤としての働きと、臭いを抑える消臭効果を発揮する外用薬があります。これはドラッグストアで買うこともできますので手軽に取り入れられる方法ですが、あくまで対処療法のため効果は長続きしません。
また、病院では保険適用の「臭化プロバンテリン」という内服薬を処方されることもあります。これは、わきがそのものを治す薬ではなく汗の分泌を抑制してくれる薬ですが、喉や目が乾いたり尿が出づらくなったりという副作用があるため、長期使用は推奨されていません。また医療機関のみで販売される「パースピレックス」という塗り薬もあります。こちらも汗の分泌を抑える目的を主としています。
・ボトックス注射:軽度〜中度のわきが対策
ボツリヌス菌の毒から生成した成分を、ワキの下に注射する治療法です。汗が出る汗腺(エクリン腺)の働きを抑える効果があるため、発汗の伝達物質の働きを鈍らせ、汗を減少させる作用があります。そのため、わきが治療よりも多汗症の治療によく用いられる治療法です。発汗量が少ない冬場はニオイが気にならないなど、発汗量が減ることでニオイが気にならなくなる程度のわきがであれば、治療効果が期待できます。
ただし、ボツリヌス菌は時間の経過と共に身体に吸収されるという特徴があります。そのため、効果が発揮されるのは平均して半年ほどと言われています。
・ミラドライ:中度〜重度のわきが対策
マイクロ波を照射して、傷を作ることなく汗やわきがの原因となる汗腺を破壊するマシン治療です。1回の照射で効果が半永久的に持続するところも魅力です。汗腺だけに働きかける方法のため、根本から治療したい人や、ボトックス注射では効果が短いと感じている人に人気の治療法です。
・手術:重度のわきが対策
重度のわきがを治療するためには、原因となるアポクリン汗腺を取り除く手術を行うことが有効です。
手術法にはいくつかの種類がありますが、最も確実性の高い手術法としては、反転剪除法が挙げられます。ワキの下を切開してニオイの元となるアポクリン汗腺を直接目で見ながら取り除く方法のため、確実にニオイの元を取り除くことができ、効果は絶大です。
|それぞれのメリットとは?
軽度のわきがならば、内服薬・外用薬は病院だけでなくドラッグストアで手に入るものもありますし、インターネットで購入することも出来ます。また病院で処方される際には、保険適用のものも多いため、費用が節約できるというメリットもあります。
ボトックス注射はクリニックの方針、疾患の重度によって保険適用、適用外が異なりますが、メスを入れないため手術跡が残ることもありません。また、施術時間も短くて済みます。身体への負担が少ないため、手術当日から日常生活に戻ることができますし、2〜3日という短い期間で効果を実感できることも特徴です。
数ある治療法の中でも受けた人の効果が高く、満足度も高い治療法はミラドライです。痛みが少なく傷跡も残らない上に、中程度以上のわきがに効果が期待できる治療法だからです。マシンで汗腺だけを狙い撃ちできることもあり、ダウンタイムも短くて済みます。
わきがの程度によっては、上記に挙げた治療があまり効果を発揮しない場合もあります。その点手術は原因となるアポクリン汗腺を除去するため、幅広い症状に対応でき、無駄がありません。そして、臭いの元を断ち切るため「効果が長続きする」という点で、手術には他のわきが治療にはないメリットがあると言えます。
手術はいくつか種類があり、方法によってアポクリン汗腺を全て除去できるものとできないものとがありますが、その数が減ることは間違いないのでわきが特有の鼻をつくような汗の分泌が防げます。
|デメリットも理解しておこう
わきが治療はそれぞれ医学的根拠に基づいた効果がありますが、メリットばかりでないのも事実です。
軽〜中度のわきがに勧められる薬やボトックス注射には、永続性がないため、一定期間をおいて病院に通わねばならず、どうしても費用がかさみます。また薬によってはかゆみや排尿障害といった副作用が出ることもあり、人によっては安心して使えない場合もあります。
中度〜重度向けのミラドライの場合は、デメリットと言える部分が他の方法よりも少ないものの、術後のケアを怠ると、しびれを感じたり腫れが起こったりすることもあります。
また手術は、方法によって利点・難点がそれぞれあるので、自分の体質に合わせてそれを見極め、手術方法を選択しなければなりません。
例えばワキの下を5cm程度切開し、アポクリン腺を目視ですべて取り除いていく反転剪除法は、アポクリン腺を確実に除去できるというメリットがある一方で、傷跡が残る点や回復までに少し期間を置かなければならない点は、デメリットとなります。
傷跡を極力小さく済ませる手術(超音波吸引法、皮下組織吸引法など)もありますが、これらはアポクリン腺が残ることがあり、再びわきがが発生するリスクがあります。またメスを入れる以上、そこにはリスクが伴うため、手術は担当医の腕と経験が結果を大きく左右します。しっかりと事前のカウンセリングで納得のいくまで話し合い、信頼できる医師を見つけることが重要です。
|素人判断は危険!?判断は専門家に任せるのが安心!
以上見てきたようにわきが治療にはそれぞれメリット・デメリットがあり、わきがの程度だけでなく、様々な事情に合わせて治療法を選択することができます。外用薬・内服薬程度ならば、他の方法に比べて日常生活での大きな負担にはなりませんから、継続も難しくないでしょうし、おサイフにも優しいでしょう。
手術にしても「傷跡が残ってもいいから、絶対に治したい!」という人もいれば「極力、手術痕は目立たなくしたい・・・」という人もいるでしょう。
考え方は人それぞれですし、どれが正しい・間違いというものでもありません。幸いなことに今では豊富な種類の治療方法がありますから、ご自身の考え方で納得ができる適切な治療法を選べるといいですね。
もちろん専門的な治療ではなくとも、市販の制汗剤やデオドランドが効果を発揮することもあるでしょう。
しかし、場合によっては汗の臭いと混ざって、より不快な臭いを発してしまうこともありますし、何よりわきがは体質のため、なかなか自分では気付きにくい厄介なものです。自分の状態を知って適切な治療を施すためには、専門医に相談してみるというのも1つの手段でしょう。